エンジンが使えなくても舟を動かす 自衛隊が磨く災害救助の技術

10月8日は「足袋の日」。

自衛隊福岡地方協力本部は同日、足袋にちなんで、陸上自衛隊の施設科隊員が「地下足袋」を履き、渡河ボートをこぐ「漕舟訓練」に取り組む様子を公式Xで紹介しました。

施設科の漕舟訓練とは?


写真には、水辺に集まった隊員たちが大きな櫂を手にする姿が写っています。

一見すると、自衛隊の訓練としては少し意外に感じる光景かもしれません。

しかし、この舟を操る技術は、災害時の人命救助にもつながる重要なものです。

投稿で紹介されたのは、施設科が行う漕舟訓練。

施設科は、道路や橋の構築、障害物の処理、陣地構築などを担う職種です。

災害派遣では、道路の啓開や倒木の撤去、土砂の除去など、被災地で活動する機会も少なくありません。

その施設科が訓練で扱っているのが渡河ボートです。

隊員たちは櫂を使い、複数人で息を合わせながら舟を進めます。

水上を移動するだけならエンジン付きの舟を使えばよいようにも思えますが、災害現場では常に機械が使えるとは限りません。

燃料や機材が十分に確保できない場合や、漂流物などが多い場所、狭い場所などでは、人の力で舟を操る技術が必要になることがあります。

そのため、実際に櫂を使って舟を動かし、方向転換や接岸などを行うための基本的な技術を身につけておくことが重要になります。

福岡地方協力本部によると、この渡河ボートは豪雨災害の際、人命救助にも使用されました。

大雨によって河川が氾濫したり住宅地が冠水したりすると、道路を車両で移動できなくなる場合があります。

そのような状況では、ボートを使って孤立した住民のもとへ向かったり、安全な場所まで避難させたりする必要があります。

普段行われている漕舟訓練は、こうした状況で舟を確実に操るための備えでもあります。

写真では、複数の隊員が輪になるように櫂を掲げていますが、実際に舟を動かす際には隊員同士が動きを合わせなければなりません。

一人だけが力を入れても思うようには進まず、進行方向を変える場合にも、それぞれの役割に応じた操作が必要になります。

今回の投稿では、隊員たちの足元にも注目しています。

施設科では作業内容に応じて地下足袋を使用することがあり、投稿では「今日は足袋の日」と紹介した上で、地下足袋を履いた隊員たちの姿を掲載しました。

普段、迷彩服や戦闘靴の印象が強い自衛隊ですが、任務や作業に応じてさまざまな装備を使い分けています。

渡河ボートをこぐ技術も、その一つです。

華やかな装備や大型車両とは違い、櫂を使って人の力で舟を進めるという昔ながらの技術。

しかし、道路が使えなくなった災害現場では、その技術が人を助ける手段になることがあります。

福岡地方協力本部は「漕舟は施設科にとって大切な技術の一つです」としています。

日頃から繰り返している一見地道な訓練が、いざという時の救助活動につながっています。

文:花園明

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