なぜ潜水艦から『517』が消えた? 海上自衛隊が公開した珍しい作業

海上自衛隊の潜水艦を見た時、艦名や艦番号が大きく書かれていないことを不思議に思ったことはないでしょうか。

海上自衛隊潜水艦隊は2026年10月6日、公式Xを更新。潜水艦「ちょうげい」が、船体に記されていた艦番号を消す作業を行ったことを紹介しました。

潜水艦隊が艦番号を紹介


投稿では、「艦番号のある潜水艦?」と問いかけた上で、

「先日、潜水艦「ちょうげい」は、艦番号を消す作業を行いました」と説明しています。

「ちょうげい」の艦番号は「SS-517」。

海上自衛隊の公式資料でも、「たいげい」型潜水艦の1隻としてSS-517「ちょうげい」が掲載されています。

では、なぜわざわざ艦番号を消すのでしょうか。

海上自衛隊によると、潜水艦の艦番号は、進水式から所属する部隊が終わるまでの限られた期間に表示されるものです。

つまり、建造中から就役に向けた過程では確認できる艦番号が、実際に部隊で任務に就く段階になると船体から姿を消します。

投稿された写真には、「ちょうげい」の艦橋付近で隊員らが作業する様子が写っており、船体に記されていた番号を消していることが分かります。

一般の艦艇では艦番号を手掛かりに艦を見分けることもありますが、潜水艦は性質が異なります。

潜水艦は、相手に自らの位置や行動を把握されないことが重要な艦艇です。

海上自衛隊潜水艦隊も今回の投稿で、艦番号が表示されている期間は限定的であり、今回の作業は珍しい光景だと紹介しています。

「ちょうげい」は、2024年10月4日に三菱重工業神戸工場で命名式・進水式が行われた潜水艦です。

「長鯨」と書き、巨大な鯨を意味します。

全長84m、幅9.1m、基準排水量約3000tで、乗員は約70人。

「たいげい」型潜水艦に分類され、ディーゼル電気推進を採用しています。

その後、2026年3月10日に同じ三菱重工業神戸工場で引渡式と自衛艦旗授与式が行われ、海上自衛隊の潜水艦として正式に就役しました。

艦長は2等海佐の神保雅彦氏です。

「たいげい」型は、海上自衛隊が運用する最新世代の潜水艦です。

1番艦「たいげい」では、従来の「そうりゅう」型と比べて探知能力を高めたソーナーや、静粛性を高めた船体構造などが採用され、探知性能や相手から発見されにくくする性能の向上が図られています。

進水時には見えていた「517」の数字が、任務に就く潜水艦から消えていく。

一般にはなかなか見る機会のない作業ですが、潜水艦が実際の部隊運用へ移っていく過程の一端を知ることができる場面でもあります。

潜水艦隊は、「『ちょうげい』は今後人知れず、日本と平和と安定のために任務に就きます」としています。

普段、その活動を目にする機会が少ない潜水艦だからこそ、「艦番号を消す」という作業そのものが、ほかの艦艇とは違う潜水艦ならではの特徴を感じさせます。

文:花園明

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