「自衛隊に外国人登用の検討を」笹川平和財団が提言 提言者の中に元統合幕僚長、元海上幕僚長ら

笹川平和財団は2026年9月2日、政策提言「新たな時代における国家安全保障モデル〜防衛力の人的基盤強化の視点から〜」を発表しました。

笹川平和財団が防衛省に提言

提言は、防衛力を支える「人」の確保を大きなテーマにしたものです。

防衛省で小泉進次郎防衛大臣に手渡され、自衛隊の人員不足を補うための新たな制度の検討などが盛り込まれました。

提言者の顔ぶれには、黒江哲郎元防衛事務次官、山崎幸二元統合幕僚長、村川豊元海上幕僚長、宮川正元情報本部長、柴田弘元防衛装備庁装備官が名を連ねています。

元統合幕僚長や元海上幕僚長、元防衛事務次官といった、防衛行政や自衛隊運用の中枢を担ってきた人物が関わっているのです。

提言の背景にあるのは、自衛隊の人材確保をめぐる厳しい現実です。

少子化が進む中で、自衛官の採用は簡単ではなくなっています。

防衛力を強化するには装備品や予算だけでなく、それを扱い、運用し、維持する人材が必要です。

防衛省も人的基盤の強化を重要課題に位置付けており、処遇改善、AIなどを活用した省人化、OBや民間人材の活用などを検討してきました。

今回の提言では、人手不足への対応として、業務の効率化や省人化に加え、採用対象の拡大にも踏み込んでいます。

その一つが、外国人の登用の検討。

提言では、公権力の行使や国家意思の形成に関わる公務員には日本国籍が必要とされるという考え方から、これまで外国人は自衛隊員の採用対象として十分に考慮されてこなかったと指摘しています。

一方で、自衛隊のすべての業務が、直接公権力の行使に当たるわけではありません。

基地の運営、後方支援、整備、補給、事務的な支援、民間委託できる業務などを細かく見れば、外国人が担える可能性のある分野もあるのではないか、という問題提起です。

もちろん、外国人を自衛隊に登用するとなれば、国籍、機密情報へのアクセス、忠誠義務、身元確認、任務の範囲など、慎重に検討すべき点は多くあります。

提言も、外国人をただちに幅広く自衛官として採用するという単純な話ではありません。

むしろ、どの業務が日本国籍を必要とするのか、どの業務なら外部人材や外国籍人材の力を活用できるのかを整理する必要性を示したものといえます。

海外では、一定の条件を満たす外国籍の人に軍への入隊資格を認めている国もあります。

提言では、オーストラリアの例にも触れながら、日本でも採用のあり方を調査・検討する価値があるとしています。

オーストラリアでは、ニュージーランド・アメリカ・カナダ・イギリス国籍を有しており永住者など一定の要件を満たせば、オーストラリア軍への入隊が認められているとのこと。

この点など踏まえ提言書では、外国人を実際に採用するなら「同盟国や同志国、防衛装備品・技術移転協定の締結国の者などに限る」といった国籍を限定することを示しています。

自衛隊の人的基盤をめぐる課題は、外国人登用だけに限られません。

今回の提言は、自衛隊の人手不足を単なる採用難として見るのではなく、国家全体で支える仕組みをどう作るかという視点を示しています。

元統合幕僚長らが関わった提言であることも、その意味を大きくしています。

現場の運用を知る元制服組、防衛行政を担ってきた元事務方、装備や情報に関わった専門家がそろって人的基盤の強化を訴えたことは、防衛力の土台が「人」であることを改めて浮き彫りにしました。

文:花園明

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