防衛省が宇宙領域の将来体制を紹介 SDA衛星や通信衛星など令和9年度概算要求の重点事業

防衛省は、公式Xの「防衛×宇宙」シリーズで、令和9年度概算要求に盛り込まれた宇宙関連事業を紹介しました。
防衛省が示した宇宙領域の体制
【🛰防衛×宇宙🚀シリーズ㉘】
第28弾は、「宇宙(そら)の将来体制」8月31日、防衛省は令和9年度概算要求を決定しました📜
宇宙の内容も盛りだくさん🍚
自衛隊の作戦や国民生活に必要不可欠な宇宙領域の防衛体制をさらに強化し、防衛力の変革を実現していきます🛰… pic.twitter.com/6M0nz4GtGf— 防衛省・自衛隊 (@ModJapan_jp) September 4, 2026
第28弾のテーマは「宇宙の将来体制」です。
8月31日に決定された令和9年度概算要求では、自衛隊の作戦や国民生活に欠かせない宇宙領域の防衛体制を強化するため、複数の事業が示されています。
投稿で紹介された主な内容は、宇宙領域での脅威を早期に把握するためのSDA衛星の整備、通信能力と抗たん性を高める次期防衛通信衛星の整備、極超音速滑空兵器を宇宙から探知・追尾する技術の実証、AIによる情報の統合処理、スタンド・オフ・ミサイルなどと双方向通信する技術の実証、衛星防護に必要な機動的な衛星運用技術の実証などです。
宇宙は、遠い研究分野というより、すでに防衛や日常生活を支える基盤になっています。
部隊の通信、位置情報、気象の把握、艦艇や航空機の運用、災害時の情報収集など、さまざまな場面で宇宙システムが使われています。
衛星の機能が妨害されたり、情報が十分に得られなかったりすれば、現場の判断にも影響が出ます。
今回の発表で中心に置かれているのが、宇宙領域把握、いわゆるSDAです。
SDAは、衛星や宇宙ごみなどの状況を把握し、宇宙空間で何が起きているのかを監視する考え方です。
防衛省は、宇宙領域の脅威を早期に把握するため、SDA衛星2号機の整備を挙げています。
宇宙空間では、対象が高速で移動します。
地上から見えない場所で衛星が接近したり、妨害の兆候が出たりする可能性もあります。
そうした変化を早くつかむことが、衛星を守り、地上や海上、空の部隊運用を支えることにつながります。
通信衛星の強化も大きな柱です。
防衛省は、次期防衛通信衛星「きらめき」後継の整備を示しています。
部隊間の通信は、災害対応でも防衛任務でも欠かせない機能です。
特に離島や海上、海外派遣のように地上の通信網に頼りにくい環境では、衛星通信の重要性が高まります。
加えて、通信の「抗たん性」も重視されています。
抗たん性とは、妨害や攻撃、障害が起きても機能を維持しやすくする性質を指します。
通信が途切れにくい仕組みを整えることは、部隊が離れた場所で同時に行動するうえで重要です。
防衛省は、極超音速滑空兵器を宇宙から探知・追尾する技術の実証にも触れています。
極超音速滑空兵器は高速で飛行し、軌道も読み取りにくい兵器として警戒されています。
早い段階で探知し、動きを追うためには、地上や航空機だけでなく、宇宙からの監視能力も組み合わせる必要があります。
AIの活用も、今回の項目に含まれています。
衛星や各種センサーから得られる情報は膨大です。
人の目だけで全てを整理するには限界があります。
AIを使って情報を統合処理し、現場が判断しやすい形にすることで、対応の速さと正確さを高める狙いがあります。
スタンド・オフ・ミサイルなどとの双方向通信に関する技術実証も示されました。
スタンド・オフ・ミサイルは、相手の脅威圏外から対処するための装備として整備が進められています。
離れた場所で運用する装備と確実に情報をやり取りするには、通信の安定性と秘匿性が重要になります。
衛星そのものを守る技術も課題です。
防衛省は、衛星防護に必要となる機動的な衛星運用技術の実証を挙げています。
宇宙空間で衛星を安全に運用するには、周囲の状況を把握し、必要に応じて軌道や運用を調整できる能力が求められます。
今回の投稿は、令和9年度概算要求の中で宇宙領域が大きな位置を占めていることを伝える内容でした。
宇宙分野の強化は、専門部隊だけの話にとどまりません。地上部隊、艦艇、航空機、災害派遣の現場まで、幅広い活動を支える土台になります。
防衛省は、宇宙を活用した情報収集、通信、警戒監視の能力を高めながら、将来の防衛体制づくりを進めていく方針です。
文:花園明